確定拠出年金制度(以下、DC制度という)は制度導入後10年以上を経過し、わが国における退職給付制度の大きな柱に育ってきております。
2012年から従業員のマッチング拠出が可能になり、2016年5月24日に「確定拠出年金法などの一部を改正する法律(平成28年法律第66条)(以下「改正DC法」という)が成立するなどDC制度改善も行われており、自助努力型私的年金制度としての着実な普及・活用が期待されています。

 しかし、このDC制度は「社員の関心や関与度が依然低い水準にとどまっている」、「効果的・効率的な継続教育・コミュニケーションの方法、内容がわからない」など従業員、加入者の制度活用、関与に関する課題、悩みを指摘する企業が多く、制度改善を含め今後解決しなければならない多くの問題が山積しております。

 一方、企業年金制度のもう1つの柱である確定給付年金(DB)制度においては、国際会計基準の導入や投資顧問会社による年金消失事件を受け、大きな転換期を迎えています。運用利回りの悪化によって年金財務が改善せず、厚生労働省では予定利回りを引き下げ易くする措置の導入などの議論が行われています。
また、主に中小企業によって設立された厚生年金基金については、将来的な廃止も検討されているところです。
このように企業年金をめぐる環境は大きく変化しており、将来的には確定給付型企業年金のウエイトが減少する一方で、確定拠出型企業年金のウエイトが増加すると考えられております。
退職給付制度の太宗は、企業が退職金額を約束する時代から、従業員が自らの運用によって退職金額を決める時代(自助努力型資産形成)に移行しつつある、と考えられます。
しかし、企業に勤務している従業員の現状をみると勤務先における退職給付制度(とくに、確定拠出年金制度)や財形制度など資産形成促進諸制度に対する理解・関心は低く、これら諸制度・諸ツールの活用はあまり進んでいないのが実状です。
 つまり多くの国民にとって、ある程度高齢化リスクを意識しつつも高齢期への有効な対応を可能とする生活マネジメントノウハウ、資産形成ノウハウ、諸制度活用ノウハウなどの獲得迄には至っていない状況にあります。
 そこで、広く働く者の老後リスクに対する備えを万全なものとするために、効果的なDC制度の運営、効果的な継続教育・コミュニケーションの実施などに関する多くの知見を収集・蓄積してDC制度加入者および当該制度企業担当者に対して提言、普及、支援活動を行う“プラットフォーム” が必要であると考え、一般社団法人 確定拠出年金 調査広報研究所(通称:DC広研)を設立いたしました。
 また、当法人は2020年をもって解散した特定非営利活動法人確定拠出年金総合研究所(通称:NPO DC総研)の 16 年以上に亘って取り組んできた「企業型確定拠出年金制度の制度運営及び運営管理機関対応に関する調査」は確定拠出年金制度の拡大と浸透のために必要不可欠なものであると考え、当調査を引き継ぐこととしております。

多くの皆様の積極的なご参加、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

理事のご紹介

代表理事髙橋 元
理事黒田 英樹
小森 哲
佐々木 哲夫

島田 大介
瀧川 茂一
堤 裕而
野口 裕晃
秦 穣治
福谷 悦夫
組織名一般社団法人 確定拠出年金・調査広報研究所
所在地東京都中央区新川1-17-22 松井ビル2階 
TEL03-6262-8186
主な活動・企業年金とくに確定拠出年金制度の健全な発展を図るべく、企業年金担当者間の諸コミュニケーション活性化の場の提供
・企業年金・確定拠出年金の加入者・運用指図者が正しい投資、運用を行うための教育方法の研究及び研修会開催による教育事業
・企業年金実務担当者の技能向上のための研修会開催等の事業
・企業年金・確定拠出年金の普及及び制度理解と活用に係る実態の調査研究事業
・確定拠出年金の受給権者に対する年金受取計画の相談と支援に係る事業
・関係機関、法人との連携・協働による制度普及と啓蒙のための活動
・上記事業に関わる広報誌発行及びホームページによる情報提供
・上記事業から派生する開発教材・調査分析結果資料・物品等の販売、講師紹介・派遣等の役務提供、コンサルティングなどの事業
・その他目的を達成するために必要な事業